金融法務に強い弁護士の選び方|弁護士の具体的な業務内容と失敗しない探し方

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金融機関にとって金融に関する法律は切っても切れない存在です。もし法律違反をするようなことがあれば企業に大きな損害を招くことになりますが、金融に関する法律は非常に細かく分かりにくいもの。

しかし、金融法務に強い弁護士を選ぶことにより、安心して仕事を依頼できるようになります。今回の記事では金融法務に強い弁護士とはどのような人物なのか、どのように雇用する方法があるかなど紹介します。

 

そもそも金融法務とは

金融法務とは、銀行・ノンバンク・リース会社・信販会社・投資運用会社・サービサー(債権回収会社)などの金融機関が企業として運営するにあたり必要となる法律知識のことを指します。金融法務に強い弁護士には、これらの金融機関からの依頼に基づき,金融取引及び債権回収に関する様々な案件を解決していくことが求められるのです。

2007年に金融商品取引法の施行がされましたが、金融商品取引法が未だ新しい法律であり,条文を読み解くことも難しいので、トラブルが発生しやすい傾向にあります。このようなトラブルを未然に防いだり、スムーズにトラブルを解決したりするために金融機関は金融法務に精通した弁護士を利用したいと思っているのです。

金融法務に『強い』とは?主な弁護士の特徴8つ

まず、金融法務を大学や大学院などで専門的に勉強していた弁護士は、金融法務の知識があるといえるでしょう。それだけではなく、金融規制法(金融商品取引法、銀行法、保険業法、信託業法等)を含む各種法令及び金融庁その他の行政庁の策定する監督指針、ガイドライン等に関する知識が金融法務を取り扱う上では必要になります。また、金融機関などに出向するなどして実務経験がある場合は、説得力が増すでしょう。

コンプライアンス体制のサポート

上場会社については、金融商品取引法や金融商品取引所規則の開示規制に従って適切な情報開示を都度行う義務があります。万が一、これらの規制に反したり、不正な行動を行ったりする場合は、営業停止など会社にとって大きな損失を出すことにもなります。そんなことにならないように、金融法務に強い弁護士は、就労規則などを整えることで社内でのコンプライアンス体制のサポートをする役割を果たします。

契約書などのリーガルチェック

金融機関が顧客と契約を結ぶ契約書は、あらゆる紛争を避けるために細かな条項に分かれたものが作成されることになり、万が一の時にどちらが責任を負うかなどが明確に記載される必要があります。曖昧な表現や責任の所在が分からない表現を避けるために、弁護士によるリーガルチェックはマストと言えます。

売掛け金などの債権回収

銀行などが貸した融資の回収ができなくなってしまう場合、債権者破産の申立、担保権・別除権の行使、訴訟、仮差押、仮処分、公正証書の利用などさまざまな手続きが必要となり、弁護士が中心となり動くことになります。債権を回収できなければ、銀行としては大きな損害を被ることになります。債権回収をメインの業務としている弁護士事務所も存在しているので、これらの弁護士事務所に依頼することにより、債権回収という普段行わないイレギュラーな仕事ではなく営業活動など本来行うべき仕事に集中できるなどのメリットがあります。

金融ADRなどの紛争対応

金融ADRとは、金融商品やサービスに関する顧客と金融機関の間でトラブルが起きた時に、金融分野に精通したあっせん人が中立・公正な立場で間に入り、裁判によらない話し合いでの紛争解決を目指す仕組みのことを言います。

たとえば「金融機関からリスクはないと聞いていたのに、元本保証がされていない商品で大きな損失を作ってしまった」「高齢の母がリスクの高い金融商品を商品の内容が分からないまま購入してしまった」などというトラブルはよくあることです。このようなトラブルがあった時に弁護士はあっせん人として紛争の解決を目指したり、和解案を提示したりします。

反社会的勢力対策

金融機関では、マネーロンダリング防止のために反社会的勢力との取引は一切禁止となっています。金融機関との取引をする際には、必ず書面で反社会勢力ではないかという書類に署名する必要がありますし、金融機関内でも信用調査などを行うことで反社会的勢力ではないかというチェックをします。

そのため、弁護士にはこのような書類作成の助言を期待しますし、万が一反社会勢力とトラブルになった時の応対方法のマニュアル作成などの対策をすることになります。

M&Aサポート

M&Aをする時には、買収対象になる企業が「どんな企業なのか」「買収しても問題ないか」ということを専門家がチェックするデューデリジェンスが行われます。通常はビジネス・会計・法務という3点のデューデリジェンスが必要となり、弁護士は法務面を担当します。

M&Aは、株式譲渡と事業譲渡の手法がありますが、多くの場合では株式譲渡が行われます。弁護士は商業登記簿謄本、定款、取締役会規則、株主総会規則などをチェックし、内容が古い場合は作り直すなどして、法律上問題がない形で譲渡するように整えます。

その他にも取引先との契約書類内容に不備がないか、従業員に対する賃金の未払いがないかなど、法務面でのトラブルが譲渡後に起こることを防ぐために細かいところまでチェックする必要があります。

インサイダー取引などに対する助言

上場株式の取引については、インサイダー取引規制、相場操縦規制等の不公正取引規制が適用されますので、このようなことを従業員が行わないような体制作りが必要になります。インサイダー取引とは、会社で将来起こることをプレスリリース前に内部の人間や取引先などが口外し、その情報をもとに投資などで利益を享受することです。

インサイダー取引を防止するためには、その案件を取り扱う部署の人間以外にプロジェクト内容を漏らさないなどの対策を取ったり、社内の人間に対して該当する株の売買を禁止したりということが挙げられます。このようにインサイダー取引をさせないためにも社内ルールを強化は必要で、弁護士にはどのような対策が必要かという助言が期待されます。

グローバル取引対応

経済のグローバル化により、国をまたぐ商いが当たり前のように行われるようになり、それに付随して国際間での決済も増えています。国ごとの商慣習の違いから、複雑多岐にわたる法的トラブルが起こることも多いので、英語力があり金融法務に強い弁護士は大変頼りになります。

また、最近ではフィンテック技術が発展したことにより、仮想通貨での取引なども増えていますが、法整備がされていないこともありトラブルも起こりやすくなっています。しかし、そのスピードや手軽さから国際送金などで従来の技術にとって代わる存在となる可能性もあるので、これらの知識を深めることもこれから金融法務を担う弁護士には必要になってくるでしょう。

 

金融法務に強い弁護士を採用する3つの方法|どのような雇用体系をとるのか?

金融法務に強い弁護士はどのような雇用体系を取るべきなのでしょうか。それぞれのメリット・デメリットについて説明します。

インハウスローヤーとして雇う

まず、弁護士をインハウスローヤーとして雇う方法を紹介します。インハウスローヤーは企業内弁護士とも呼ばれ、企業が一社員として弁護士を雇う形態のことを言います。インハウスローヤーは、法務部などに所属して自社の法務案件を当事者として問題解決していきます。

そのため、社内の事情を理解した上での問題解決方法を提示してくれますし、何かあった場合にも社内にいるのですぐに確認することができるという点でメリットが大きいです。最近ではインハウスローヤーを雇う企業が急増しており、上場企業の中には一社で10名以上のインハウスローヤーを雇うところもあります。

デメリットとしては、弁護士資格を持った人材を採用するにあたり、インハウスローヤーは年収が高くなる傾向にあります。大手の上場企業の場合は、その他社員の報酬も高いのでそこまで問題はないかもしれませんが、中小企業などの場合はインハウスローヤーを雇うのはコストが高過ぎるという可能性もあるでしょう。

相談したい案件が多く、顧問弁護士に個別案件料を支払うよりは安い」という場合は良いですが、相談頻度などを考えてインハウスローヤーを雇うかを考えるべきと言えます。

顧問契約を結ぶ

顧問契約とは、会社の実情などを理解した顧問弁護士と契約を結ぶことです。一社員として働くインハウスローヤーに比べると気軽に相談という訳にはいきませんが、会社の実情を理解した上で契約を結ぶので、全く知らない弁護士に一から説明して相談するよりはスムーズです。

顧問弁護士には、月額の顧問料を支払うことになりますが、案件ごとに別途必要になる弁護士費用を抑えて法律相談ができるようになります。顧問料の相場は3万円〜5万円で、契約内容にもよりますが、法律相談・契約書の作成・売掛金の回収・税理士の紹介など顧問契約なしで依頼するよりは安く済ませることができます。

また、「顧問契約を結んだもののあまり相談する機会がない」と言う場合も、顧問料積立制度を利用することにより顧問費用が無駄になりにくく、効率的に顧問弁護士を使うことができます。この顧問料積立制度とは、毎月顧問料を支払っているのにも関わらず弁護士を利用しなかった場合、その月の顧問料を弁護士報酬として使うときのために積み立てることができるものです。

「顧問契約を結びたいけれど、本当に活用できるか不安」という場合、このような制度がある弁護士と顧問契約を結ぶと良いでしょう。

社外取締役として契約する

社外取締役として弁護士と契約するのも一つです。コーポレートガバナンスの強化により、2019年10月に上場企業に社外取締役の設置の義務化が閣議決定されました。株主保護の観点から、経営陣を監視する役割として社外取締役が不正などないか目を光らせる訳ですが、弁護士を社外取締役として選ぶケースも大変多いです。

社外取締役は取締役会への参加がメインの業務になり、月に何回も会社に出社するわけではありませんが、常勤の取締役同様に会社の運営をより良くするというミッションがあります。

そのため、難しい案件などは別途弁護士費用が発生するかもしれませんが、簡単な法律相談やトラブル対策方法を聞くくらいなら気軽に相談しても良いでしょう。

 

金融法務に強い弁護士の探し方

最後に金融法務に強い弁護士の探し方について紹介します。

同業他社の経営者に紹介を依頼

金融法務に強い弁護士を探す場合、同業他社の経営者に紹介を依頼するという方法があります。金融法務は内容も複雑で、実務経験者でないと理解しがたいです。そのため、金融法務に精通した人材を社外取締役として雇っていたり、顧問契約を結んでいたり、利用していたりする経営者が身近にいるならばそのような弁護士を探していることをアピールしておくことで繋いでくれる可能性が高くなります。

紹介してもらう前に、その弁護士の働きぶりやキャラクターを聞いておけば自分の会社の社風に合うかも想像できますし、紹介される弁護士側としても紹介してくれた経営者に失礼がないようにと一生懸命働いてくれるはずです。

金融法務に強い弁護士事務所をホームページで探す

インターネットの検索サイトで「金融法務」「弁護士」と検索すると、金融法務に強い弁護士事務所や弁護士のホームページがヒットします。このようなホームページでは、弁護士の経歴・学歴・得意分野・過去に取り扱った案件などのプロフィールを見ることができます。

「お願いしたい案件に強そうな経歴がある」「相談したい時にすぐに足を運べる場所に事務所がある」などの希望する条件に照らし合わせながら候補を選び、実際に何人か会ってから担当弁護士を決めるとよいのではないでしょうか。

 

おわりに

金融法務は複雑で細かい法律を理解する必要があるので、特に金融機関などではその分野を専門としている弁護士に依頼しなくてはいけません。金融法務に強い弁護士には、契約書類のリーガルチェックや社内のコンプラ意識向上のためのマニュアル作成、債権回収やM&Aサポートなどさまざまなことが期待できます。

雇用形態としては、顧問契約を結んだり、インハウスローヤーとして雇ったりなどという方法があるので、会社の予算や利用頻度などを考えて選ぶべきと言えるでしょう。紹介を依頼したり、金融法務に強い弁護士事務所から探したりすることで、理想に近い弁護士を探し出すことができるのではないでしょうか。

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